花魁道中いろは唄~外伝~ 名月魅せる梦 ♂×2 ♀×4 / 白鷹

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所要時間:30分程度
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2019/3/2 利用規約を改訂しました。必ず読んでから上演をお願いいたします。

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◆登場人物◆

 

牡丹  (ぼたん)  24歳 ♀

    遊郭の店の中でも屈指の人気を誇る『華屋』のお職
    遊郭の中を花魁道中として練り歩き美貌と立ち居振る舞いと教養の高さを誇る
    人々の羨望を集めた遊郭トップクラスのお職
    水揚げ後、異例の早さと若さでお職に選ばれた実力者


 

椿   (つばき)  18歳 ♀

    可愛らしい顔と愛らしい仕草で水揚げ前の振袖新造時代から客に絶大な期待をされていた
    水揚げ年齢が近くなった頃から、『華屋』では先触れを出して客を呼び込み
    椿の水揚げには破格の花代が付けられたにもかかわらず、御開帳には申し込みが殺到した
    現在は花魁として活躍し次代お職の立場が約束されている


 

蓮太郎 (れんたろう)  18歳 ♂

    大見世、華屋の若衆。椿と同年齢のせいで非常に仲が良く、いつしか椿と心を通わせるようになるが
    忍耐強くそれを堪え、椿の初見世を祝った。生真面目で優しく人当たりもよい少年。
    生まれも育ちも遊郭であり母親の美しさを生き写しに持ってきた美少年であり、時々陰間と間違えられる


 

惣一郎 (そういちろう)  26歳 ♂

    呉服老舗問屋、松川屋の若旦那
    娘の八重と結婚して呉服屋を継いだものの、非常に遊び人で遊郭内でも様々な見世をうまく立ち回り馴染みになっている。
    美形で遊女からの人気も高い。現在は椿の客として華屋に通っている


 

女将  (おかみ)  30歳 ♀

    華屋の女将。見世の経営を遣り手任せにはせず自らもせわしなく働く
    自分の見世の女郎たちをとても可愛がっており、何か女郎が失敗した時なども身体に傷を付けない為に
    折檻はせず、仕置き部屋に閉じ込める程度で済ませるなど、大切にしている


 

朝顔太夫(あさがおだゆう)27歳 ♀

    華屋の座敷牢にいる幽霊
    花魁などの呼称はなく、まだ太夫が現存していた時代の地縛霊
    大変な美女で伝説にも残る女性だが、魑魅魍魎化してから僅かながらの霊障ももたらす

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役表

牡丹  (♀)・・・
椿   (♀)・・・
女将  (♀)・・・
朝顔  (♀)・・・
蓮太郎 (♂)・・・
惣一郎 (♂)・・・

――――――――――――――――――――――――
 

女将 「ここは幕府公認若山遊郭。
    遊郭と言えば有名どころは島原、新町、吉原だろう。
    だがここは、島原と吉原の丁度真ん中に位置する若山。
    女と男の偽りの恋をつづる町。」

 

朝顔 「左吉さん・・・。左吉さん・・・。
    どうして床に寝たままでありんすか・・・?
    目を、覚ましてくんなまし。その赤いもんはなんでござんしょう?
    左吉さん・・・。さ・・・、きち・・・さ・・・ん?」


朝顔 「あと少し・・・、年季が明けるまであと半月だったのに・・・
    この世に神も仏もおらんのか・・・」


朝顔 「大名がなんじゃ・・・。金子で命が買えるものか
    ややを・・・、左吉さんもややも・・・、返してくんなまし・・・
    (すすり泣き)」

 

 


椿  「・・・、で中秋の名月を愛でる頃に、夜な夜なおなごのすすり泣く声が聞こえるそうでありんす」

牡丹 「ばばばばば、ば、バカなこと言ってんじゃないよ! そんな、ゆ、ゆ、幽霊なんて居るもんかい!」

椿  「んん? まーさーか・・・。んふふ、姐さん、怖いんでありんすか?」

牡丹 「こ、怖くなん・・・、ありんせん」

椿  「あれ姐さん、煙草が燃えつきとりんすよ? 大丈夫でありんすか?」

牡丹 「べ、別に話に聞き入ってただけだよ」

椿  「でも、この華屋も若山創業以来の老舗。怪談の一つや二つあって当然でありんすね」

牡丹 「あ、あちきは幽霊なんて信じないよ。見た事も無いのに」

椿  「信じてないなら大丈夫でありんすな」

牡丹 「なななな、何が大丈夫なんだい」

椿  「なんでもありんせん? さーって、もみじ屋に行って夜見世の準備をしんす」

牡丹 「あちょ、ちょっと! 椿!」

 

 


惣一郎「へーぇ、牡丹は怖がりか。そりゃあ面白れぇ話を聞いたな」

椿  「ね、惣一郎様、牡丹姐さんを驚かすのに協力してくんなんし」

惣一郎「お前ぇは怖くねぇのかよ、椿」

椿  「へ? 怖いって? 幽霊でありんすか?」

惣一郎「おうよ」

椿  「あははははははは、そんなもんおらん。あはははははは」

惣一郎「女ってのはみんな雷、幽霊は怖がるもんだと思ってたよ」

椿  「ふふ・・・、惣一郎様以外なら、怖がっても見るけんど?」

惣一郎「椿、俺ぁ一度聞いてみたかったんだがよ」

椿  「あい?」

惣一郎「俺の事何だと思ってんだ?」

椿  「惣一郎様は惣一郎様でありんす?」

惣一郎「・・・違いねぇ」

椿  「ん?」

惣一郎「よし、やるか」

椿  「何を、でありんすか?」

惣一郎「床に入るんだよ、客に何言わせてんだ!」

椿  「今日は嫌でありんす」

惣一郎「ぶほぉっ! お前ぇって奴は!」

椿  「ふふっ、惣一郎様、奥座敷の向こうの座敷牢に行ってみんせんか?」

惣一郎「牡丹を連れていかにゃあ面白くねえだろうがよ」

椿  「牡丹姐さんは、今日行水でお休みしておりんす。連れて行く事は出来んすよ?」

惣一郎「なるほどなぁ・・・」

椿  「いかがでござんしょう?」

惣一郎「そうさな、連れて行って、牡丹を置き去りにして部屋に帰って来るってのはどうでぇ?」

椿  「あ、それすごく楽しそうでありんす!」

蓮太郎「障子越しに失礼いたします。椿花魁、惣一郎様。
    華屋としては床入りのお時間に、部屋から出る事は余り感心しません。
    と、一応お伝えしておきます」

惣一郎「蓮太郎、相変わらず硬ぇ事言いやがって」
蓮太郎「最低限の秩序をお伝えしたまでです」
惣一郎「俺ぁ別に椿や牡丹を見世から連れて出るって言ってる訳でもねぇしよ」

蓮太郎「惣一郎様、他のお客様の手前という事を考えていただけませんか」
惣一郎「しゃあねぇなぁ・・・。蓮太郎、これを女将に渡して来てくれや」

蓮太郎「・・・っ。これは」

惣一郎「ちょーっと硬くて歯が立たない饅頭ってな。
    へへ、これで多少の事ぁ女将も許してくれるだろ」

蓮太郎「牡丹花魁が受けるかどうかまでは責任持てませんよ?」

惣一郎「そんじゃま、牡丹花魁を連れて来てくれるか?」

蓮太郎「はぁ、判りました。まずは女将に伝えてきます」

 

 


牡丹 「あいすみませんが、お断りいたしんす。と伝えておいで!」

蓮太郎「しかし、心付けを女将が受け取った以上牡丹花魁に断る余地がありません」

牡丹 「受け取ったのかい! あのクソババァ!」

蓮太郎「惣一郎様は長くお通い戴いている馴染み客でもありますから、無碍に出来ないんですよ」

牡丹 「だからってなんで行水の時に客の相手をしなきゃならないんだい!」

蓮太郎「床入りではないのですから」

牡丹 「惣一郎様はもうあちきのおきちゃではありんせん」

蓮太郎「遣り手と女将が納得してしまっている以上仕方ないでしょう?」

牡丹 「髪だって結ってないし化粧もしとらん。こんな恰好でおきちゃの前に出られるもんかい」

蓮太郎「その事情もお話しましたが、惣一郎様だから問題ないと」

牡丹 「惣一郎様だからって・・・、どういう事でありんすか」

蓮太郎「それに、座敷で芸事を披露する訳でもないのですから」

牡丹 「何をするっていうんだい」

蓮太郎「それは椿花魁の部屋に行ってから、直接お聞きになってください」

牡丹 「祝儀を包んでまで何をするっていうんだい、全く。はぁ、判ったよ」

蓮太郎「ありがとうございます」

牡丹 「別に礼を言われる事じゃないよ。ここで蓮太郎に何を言ったって状況は変わりゃせん」

 

 


牡丹 「惣一郎様? 今更あちきをお呼び立てとは一体なんでありんしょう?
    だいたい察してはおりんすが、一応聞かせていただきんしょうか?」

惣一郎「おう、牡丹。久し振りだな」

牡丹 「ん? 椿は? おきちゃをほっぽってどこいきんした?」

椿  「ここにおりんす、姐さん」

牡丹 「う、後ろからいきなり! 驚かすんじゃないよ!」

椿  「牡丹姐さーん、これはなんでしょう?」

牡丹 「んん? そりゃ、あちきの煙管盆と長煙管じゃないかい。
    そんな物持って・・・、ってちょっと。どこ行くんだい! 返しな!」

椿  「返して欲しかったら奥座敷の向こうにある座敷牢まで来てくんなんしー!」

牡丹 「ちょっ! 座敷牢?!?! や、やめ・・・っ!!」

惣一郎「ちょっと待った」

牡丹 「あいたっ! そ、惣一郎様! 着物の裾を踏まんでくんなまし!
    転んじまったじゃありんせんか!!」

惣一郎「悪い悪い。ちょっと、女将の話を聞いてから行こうぜ」

牡丹 「女将? お母さんまで、一体どなんしんしたぇ?」

女将 「いや、あたしもねぇ。この際、噂が本当なのかどうか確かめるべきだと思ってねぇ」

牡丹 「噂?」

女将 「座敷牢が使えないんじゃ困るんだよ」

牡丹 「座敷牢?!」

女将 「・・・出るって、あんたも聞いたことがあるだろう?」

牡丹 「いやあの、座敷牢なん、咎人を罰する為の部屋でありんすから
    べ、別に妙な噂があろうが構やせんじゃござんせんか」

女将 「あたしもそう思ってたんだけど、やっぱり気持ち悪いだろう?」

牡丹 「な、何も今じゃなくても」

女将 「こういうのは思い立ったが吉日だろ?」

牡丹 「つ、つつ、椿がいるじゃござんせんか」

女将 「なんだい、あんた。怖いのかい?」

牡丹 「こ、怖くなんありんせん?」

女将 「じゃあ、大丈夫だねぇ」

牡丹 「そ、惣一郎様、と!」

惣一郎「ははーん、なかなか可愛らしい反応するじゃねぇかい
    心付けの分きっちり楽しませて貰うぜ?」

牡丹 「楽しま・・・っ(泣きそう)」

女将 「さて、座敷牢に行きながら話をしようかね」

牡丹 「話って、なんの」

女将 「あたしもあんまり詳しくはないんだがね、
    蓮太郎がよく知ってるというから教えて貰おうじゃないかい」

牡丹 「蓮太郎が・・・? なんで?
    ・・・、この人数で行くなら、大丈夫でありんすね(小声)」

蓮太郎「元々、椿花魁を驚かそうと思って調べただけですよ」

女将 「あはは、椿かい! 驚くどころか楽しんじまったという事かね
    椿らしいよ! あー、おかしい・・・、あはははは」

蓮太郎「巻き込まれた牡丹花魁に同情いたします」

牡丹 「元はあんたじゃないかい!」

蓮太郎「あ、痛ってぇ・・・」

女将 「で? 誰に聞いたんだい?」

蓮太郎「おやっさんですよ。あの人無駄に華屋の歴史に詳しいんで」

女将 「役に立たない知識バカってんだよ!」

蓮太郎「くす、手厳しい・・・。で、例の幽霊の正体ですが」

女将 「幽霊の正体なんざ枯れ尾花って相場が決まってるんだよ」

蓮太郎「まだ太夫が現存した時代に遡りますが、その頃に有名な朝顔太夫という女郎がいました」

女将 「あたしも、名前だけは知ってるよ。
    大層な別嬪で身請けに万両箱を積まれたという伝説の女郎さね」

惣一郎「万両箱?! そりゃ、そんじょそこらの武家じゃねぇだろう?」

女将 「万両箱なんてあたしゃお目に掛かった事はないよ。
    はぁぁ・・・、死ぬ前に一度は拝んでみたいもんだねぇ」

蓮太郎「ですが、その身請けが嫌で座敷牢で首をくくって死に、
    その恨みが残っているのだと聞いております」

女将 「万両箱で不満を言うなんざ贅沢すぎんだよ」

牡丹 「身請け金はあっちらに貰える金子じゃありんせんからなぁ」

女将 「見えたよ。あそこが座敷牢さ」

蓮太郎「はい」

女将 「あの格子の内側から声が聞こえるってんだ」

惣一郎「ふーーん。ところで、聞くがよ蓮太郎」

蓮太郎「はい」

惣一郎「椿はどこ行ったんだ?」

蓮太郎「え?! 惣一郎様がご存知なのではなかったのですか?」

惣一郎「一足先に座敷牢へ行ったきり俺ぁ見てねぇぞ」

蓮太郎「じゃ、じゃあ、どこに・・・」


朝顔 「(すすり泣く声)」


女将 「な・・・、なんだい? 椿? そこにいるのかい?」

惣一郎「もう少し明かりで照らさにゃあ見えねぇよ」

蓮太郎「もっと蝋燭に火を灯しましょう」

牡丹 「ひ・・・、ひ(声にならない声)」


朝顔 「ひとつ 瞳に 燃ゆる恋
    ふたつ 二人で 灯すなら」


惣一郎「これは、唄・・・、か?」


朝顔 「みっつ 皆を 欺いて
    よっつ 寄り添い 地獄へと」


蓮太郎「数え唄・・・」


朝顔 「いつつ いつかは 朽ち果てて
    むっつ 骸を 晒しても
    ななつ 涙の つたう跡
    やっつ やや子も 殺されて」


蓮太郎「椿? そこにいるのか?」

惣一郎「ん? あれは・・・」

女将 「あわ・・・、あわわわ」

惣一郎「蓮太郎、そこに倒れているのは!」

蓮太郎「椿! 椿、どうした! 大丈夫か?!」

惣一郎「し・・・、死んでいるのか?」

蓮太郎「いえ、生きています。気を失っているだけです。
    椿・・・、良かった」

惣一郎「そう、か。良かった」


朝顔 「ここのつ 今宵の 愛し人
    とおで 床にて 血まみれに・・・
    どうして・・・、左吉さん・・・。(すすり泣き)」


惣一郎「女・・・?」

朝顔 「おんし・・・、誰じゃ・・・」

惣一郎「お前が誰だ!」

蓮太郎「そこで聞きなおせる惣一郎様を尊敬いたします」

惣一郎「くそっ、女共は全員気絶しちまったか・・・」

朝顔 「左吉・・・、さん・・・? あちきのとこに戻ってきてくだしゃんしたか・・・」

惣一郎「左吉って誰だ?」

朝顔 「あぁ・・・、左吉さん、あちきをここから出しておくんなまし」

蓮太郎「どうやら、この幽霊は・・・、惣一郎様を間夫か誰かと勘違いしているのでは?」

朝顔 「左吉さん・・・、左吉さん・・・。ここから・・・、あぁ、わっちゃあここから出られやせん
    あちきは腹のややを守れんかった。今更左吉さんに会う資格などありゃあせん」

蓮太郎「やや・・・?」

朝顔 「無念じゃ・・・、無念・・・。左吉さんは華楼の楼主に殺された・・・」

惣一郎「左吉・・・、間夫? 華楼って、昔の華屋の事か・・・?」

朝顔 「年季明けを待っておったというに・・・」

惣一郎「年季明けと共に祝言でも挙げる積もりだったんかい?」

朝顔 「万両の身請け金に目が眩んだ楼主に左吉さんは殺されて
    腹のややも中条流で殺された・・・。あぁ、むなしや・・・、うらめしや」

蓮太郎「朝顔・・・、太夫・・・。く・・・っ、体が・・・動かない・・・」

惣一郎「それでくびり死んだという訳か。蓮太郎、意識をしっかり持て」

朝顔 「皆道ずれじゃあ・・・」

蓮太郎「もうすぐ、朝日が昇る・・・、なんとかそれまで」

朝顔 「ふふふ・・・、あはは・・・
    ひとつ瞳に燃ゆる恋・・・
    (すすり泣き)」

 


椿  「そんで、みーんな、座敷牢の前で倒れてたって事でありんすな?」

蓮太郎「取り敢えず誰も怪我人のいない事が不幸中の幸いでした」」

女将 「とにかく、身を持って知っちまったからには坊主呼んで対処もしないとねぇ」

椿  「何かやるんでござんすか?」

女将 「除霊だが浄化だか調伏だか。何にせよ、いて貰っちゃあ困るんだよ」

椿  「特に悪さはしとらんかったじゃありんせんか」

女将 「気味が悪いじゃないかい」

椿  「気味が悪い? あっちには悲しげに聞こえんしたが」

女将 「そんでも、ほっとく訳にはいかないだろう?」

椿  「話を聞くにつけ、憐れでありんす」

女将 「ん?」

椿  「ん? どなんしんした? お母さん」

女将 「椿、なんだい、その首の跡」

椿  「ああ、これは朝起きたらついとったでありんす。
    なんぞ首を絞めたような跡で、物騒でありんすなぁ・・・」

女将 「悪さされてるんじゃないかい!」

椿  「そんでもあっちは結局こうして生きとりんす」

女将 「今回はたまたま運が良かっただけの話じゃないのかい!」

椿  「そりゃあ、そうかもしれんせんけんど」

女将 「いつ祟られるか判ったもんじゃないよ」

椿  「そうでありんすね。朝顔太夫でありんしたか?」

女将 「あたしもはっきり覚えちゃいないけど、綺麗な顔の幽霊だったね」

椿  「太夫ってくらいでありんすから、今でいうお職でありんしょ?
    そりゃあ別嬪なのは当たり前でありんすな」

女将 「ところで、牡丹」
椿  「返事はせんでありんす」

女将 「なんでだい?」

椿  「布団めくってみりゃあ判りんす」

女将 「布団ねぇ・・・。牡丹? 牡丹、大丈夫かい」

牡丹 「うわぁああああ!!! 嫌じゃ・・・、嫌じゃ・・・! おれは郷に帰るんじゃ!
    女の怨念がおる見世なんか嫌じゃ、おれを郷に返してぐれ!」

椿  「牡丹姐さんは、目を覚ましてからずっと布団被ってあんな風でありんす」

惣一郎「いやあ、俺らも危なかったが、面白いもん見せて貰ったぜ? 牡丹?」

牡丹 「おれをさどにがえしでぐれぇえぇえ・・・」