時空(とき)の護人(もりびと) 1 ~水 さよなら~ ♀×1 不問2 /白鷹

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所要時間:40分程度
利用規約をお読みいただきご利用下さい。

2019/3/2 利用規約を改訂しました。必ず読んでから上演をお願いいたします。

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◆登場人物◆

奏(かなで) 零音(れおん)  14歳 (♂) 演じる性別不問


    成績上の中、運動神経上の中、一般的な少年。両親は既に亡くしており、父方祖父にあたる寺の住職に育てられた。
    その為、真言陀羅尼(しんごんだらに)を全て暗記している。
    現在は祖父もなくなり双子の姉、凛音と共にアパートで暮らしている。

    双子の姉、凛音にかすかな恋心を抱いている。

奏(かなで) 凛音(りおん)  14歳  (♀)
 

    成績は中の中、運動神経は抜群。世界史、日本史だけがやたら得意。
    零音と同じく真言陀羅尼(しんごんだらに)はすべて暗記している。
    零音と共にアパートで二人暮らしをしている。家事全般を担当。

遠藤(えんどう) 真(まこと) 14歳 (♂) 演じる性別不問
 

    成績は元々大変良い子で優等生。運動はそれほど出来ない。がり勉タイプの少年。
    零音と凛音と同級生。

――――――――

役表

 

零音 (♂♀)・・・
凛音 (♀)・・・
真  (♂♀)・・・

――――――――――――――――――――――――
 

凛音「零音―! いい加減に起きなさいよ!」
零音「・・・ん・・・、あ、と・・、10分・・、ZZzz」
凛音「・・・零音~!! 起きないと遅刻する!」
零音「んー・・・、凛音がチューしてくれたら、起きる・・・だっ!!」
凛音「永眠しろ」
零音「痛ってぇ・・・、何も・・・、殴らなくても・・・」
凛音「お姉ちゃんに対して変な事言うからでしょ?!」
零音「姉ってったって双子じゃん。年上振るなよ。凛音なんてまだクソガキじゃん」
凛音「お姉ちゃんと呼びなさい。もう一発イッとく?」
零音「あー、いい、遠慮します、ごめんなさい」
凛音「全く・・・、あんた遠藤君と朝勉の約束してたんじゃないの?! 迎えに来て玄関先で待ってるよ?!」
零音「あーー!! そうだった!! しまった、やっべえ、寝てる場合じゃない! ・・・、痛っつ・・・」
凛音「・・・どうしたの? 首の後ろ。痛いの? 寝違えた?」
零音「や、違う・・・。昨夜変な夢見たんだ」
凛音「変な夢?」
零音「あやかし一つったかな、それを狩れとか何とか。全ての妖(あやかし)を狩り終わるまで僕の時間を止める。

   指令はうなじに埋め込んだインプラントから受け取れ、とか」
凛音「何それ厨二臭っ! アニメ見過ぎじゃない?」
零音「多分なー」
凛音「取り敢えず、トースト食べてね。あとお弁当はテーブル!」
零音「サンキュ。・・・ん? テレビ見てたん?」
凛音「うん、ほら3日前にさ・・・、公園前で能美(のうみ)さんが殺された事件が気になってて。捜査進んでるのかなって」
零音「あぁ、全国模試でトップになった瞬間だもんな。怨恨か何かかって噂。違うクラスとは言え同じ学校だからなー。

   確か後頭部を鋭利な刃物で刺されてたんだっけ?」
凛音「うん・・・。塾の帰り、夜遅い時間だから親が迎えに行かなかったのが悪いってすごく叩かれてる」
零音「夜10時だもんな・・・。流石に女子1人はないわ」
凛音「はっ! しまった!! あたしも莉奈(りな)と約束があるんだった!! じゃ、先行ってるね!」
零音「おう、気を付けろよ!」
凛音「はーい!」

零音「・・・、使命を放棄すれば大切な物を失うって・・・、凛音の四肢が引き裂かれる夢だった・・・、なんて、さ・・。怖えじゃんか」

 

 

 

 

零音「はよ! 遠藤! 悪い、寝坊した!」
遠藤「そうだろうと思ったから迎えに来たんだ」
零音「けど、朝勉ってマジでお前ガリ勉だよな」
遠藤「俺はお前みたいにへらへら遊んで成績取れるタイプじゃないんだ」
零音「ややや、僕だって勉強くらいするって!」
遠藤「いつ?」
零音「テスト前」
遠藤「だけだろ? ホントむかつくなお前・・・」
凛音「零音ーー!!」
零音「ん? 凛音? どうした? 戻ってきたのか」
凛音「ぜぇ・・・、はぁ・・・。今日おじいちゃんの命日だからお墓参り行くよ! 道草しないでね!!」
零音「墓参り、あぁ、そうだっけ。わかった・・・って、待ち合わせ大丈夫か?」
凛音「全然大丈夫じゃない! じゃね!!」
零音「台風みたいな奴だな」
遠藤「凛音ちゃん、スカート、短い・・・」
零音「あっ! お前! 遠藤! 凛音はダメだからな! いくら可愛くたって絶対ダメだぞ!」
遠藤「お、俺は・・別に・・、スカートが短いのが気になっただけで・・・」
零音「でも好きだろ?」
遠藤「う、そりゃ、可愛い、し・・・。でも、モテるだろ?」
零音「はっきり言ってモテる。ま、下手なアイドルより可愛いししょうがない。僕は凛音を守るだけだ」
遠藤「守るって言うか寄って来る男全部蹴散らしてるというか」
零音「身の程を知れ」
遠藤「じいさんの墓参りって?」
零音「あー、ウチ両親物心付いた時には二人とも死んでて、寺の住職だったじいちゃんに育てられたんだよ。

   お陰で真言陀羅尼(しんごんだらに)全部覚えてるぞー」
遠藤「それはそれで凄いな。需要はなさそうだが」
零音「それな」
遠藤「記憶領域圧迫されてテストの点数暴落(ぼうらく)してしまえ」
零音「地味な呪い掛けるな」
遠藤「で? 二人暮らし?」
零音「うん、結局、じいちゃんも2年前に死んで二人でアパート暮らし」
遠藤「親戚は?」
零音「父方の遠縁のおばさんが一応生活費の面倒は見てくれてるけど、一緒に住むのは無理ってさ。悠々自適で楽だから気にしてない」
遠藤「・・・う・・・、っ」
零音「あっ! けど家事分担だから全然苦労してない訳じゃないぞ!」
遠藤「う・・・、ぐ・・・」
零音「ん・・・、遠藤? どうした? 体調悪いんじゃないのか?」
遠藤「少し、立ちくらみして・・・、吐き気があるだけ・・・」
零音「全然大丈夫じゃねーな」
遠藤「寝不足・・・、かな? 昨夜、寝苦しくて、なんか・・・変な夢」
零音「変な夢?」
遠藤「クラス委員の藤堂(とうどう)が・・・、血だらけで、倒れてた」
零音「藤堂(とうどう)・・・、ね。あいつも成績良いもんな。なんだお前、藤堂(とうどう)もライバル視してんの?」
遠藤「・・・、俺より成績良いやつはみんなライバルだよ」
零音「程々にしろよ?」

 

零音「全く、お前の疑問に付き合ってたらいつの間にか始業ギリギリだよ馬鹿!」
遠藤「ごめん。けどどうしても連立方程式の代入法は頭に入れておきたかったんだ」
零音「程々にしろって言ってるのに」
遠藤「ん・・・? なんか・・・、教室が騒がしくないか?」
零音「ホントだ。なんだ? みんな廊下に出て」
凛音「あっ! 零音!」
零音「凛音・・・、どうしたんだ? みんな」
凛音「あ・・・、あの、ね・・・。その・・・、藤堂(とうどう)君が・・・」
零音「藤堂(とうどう)が? 遠藤、お前予知夢でも見たんじゃねえの?」
遠藤「そんな・・、馬鹿な・・・」
凛音「なんの話してるの?! ふざけないでよ!」
零音「まさか・・・、死んでる、のか?」
凛音「そうだよ!! 能美(のうみ)さんと同じ様に!!」
零音「能美(のうみ)さんと・・? 後頭部を刺されたって事か?!」
凛音「うん」
遠藤「お・・、 俺は・・・」
凛音「遠藤・・・、君?」
遠藤「違う! お、俺は・・・! 俺じゃない!」
零音「落ち着けよ遠藤! 誰もお前がやったなんて言ってないだろ!」
遠藤「違うんだ! 俺は! 俺は・・・っ!」
凛音「遠藤君! どこ行くの?!」
零音「遠藤!」
凛音「遠藤君! 待って! 遠藤君!!」
零音「凛音!」
凛音「遠藤君!!」

零音「追いかけて・・・、どうするんだよ・・・。後頭部を、刺された?」


零音「藤堂(とうどう)・・・、床が血だらけだ・・・。こういうのって現場荒らしたら良くないんだよな。けど・・・」


零音「後頭部、結構でかい穴が開いてる・・・。ん? 軽い・・・? え、人の頭って・・・、もっと重い筈。

   まるで・・・、ボールのよう・・・?」

 

凛音「遠藤君! 待ってって!」
遠藤「凛音・・・、ちゃん・・・」
凛音「どうして、逃げ出したりなんか!」
遠藤「違うんだ!」
凛音「落ち着いて? どうしたの? 何か知ってるの?」
遠藤「夢だと・・・、思ったんだ」
凛音「夢? 何の話?」
遠藤「藤堂(とうどう)が死ぬ所を見たんだ・・・」
凛音「え・・・?」
遠藤「良く判らない。けどっ!」
凛音「ごめんね、その、判る様に話して貰ってもいい? かな?」
遠藤「悔しかったんだ・・・。藤堂(とうどう)だって中間テスト頑張ってたの知ってる! でも僅差で順位抜かれて! 自慢されて」
凛音「う・・・、うん?」
遠藤「ただ、悔しくて」
凛音「うん」
遠藤「なんでか知らないけど、見たんだ」
遠藤「今朝、さ。零音と待ち合わせ、6時半に教室だった筈なんだ。でも、来ないから一度迎えに戻って・・・」
凛音「あんのバカ! ごめんね、遠藤君。あいつその時間ぐぅぐぅ寝てたわ」
遠藤「オレさ、どうしても時間リギリなのってダメな性分で」
凛音「真面目だもんね。悪くないと思うよ、そういうの」
遠藤「少し、早めに教室に来たんだ」
凛音「うん」
遠藤「そうしたら、藤堂(とうどう)が居て」
凛音「ん、なんかクラス委員の仕事でもあったのかな?」
遠藤「朝こんな早くに来て勉強とか・・・、真面目すぎって・・・、バカにされて」
凛音「真面目なのをバカにするとか、え? 藤堂(とうどう)君てそういう人だったんだ」
遠藤「中間の成績の事まで引きずり出して・・・」
凛音「あ、あの・・・、でも。その、え、遠藤君が・・・、殺した、訳じゃ、ないんだよね?」
遠藤「違う! 違うよ! 凛音ちゃんそれだけは信じて!」
凛音「あ、いや、ごめんね、大丈夫。一応聞いてみただけだから、遠藤君がそういう人だとは思ってないよ」
遠藤「ただ・・・」
凛音「ただ?」
遠藤「カッとなって、その後の記憶が曖昧なんだ・・・」
凛音「曖昧、って?」
遠藤「判らない! ただ、藤堂(とうどう)が妙に怖がってて、悲鳴上げて逃げようとしてて」
凛音「え、悲鳴? 逃げるって、何から?」
遠藤「判らないんだ! オレもそこに居た筈なのに良く覚えてないんだ!」
凛音「・・・ん、何か怖がって・・・、って、遠藤君は怖くなかったの?」
遠藤「怖かったんじゃ、ないか、な・・・。だから、記憶がぶっ飛んだのかもしれない」
凛音「そう、かもね」
遠藤「でも! なんか、訳の判らないモノが藤堂(とうどう)の頭に刺さってるのは見たんだ!」
凛音「訳の判らないモノ?」
遠藤「なんて言うか、その、触手みたいなピンク色の・・・、人間の内臓みたいな、変な・・・、訳が判らない!」
凛音「・・・っ! なにそれ・・・、怖い・・・」
遠藤「だから! オレじゃない!」
凛音「そりゃ、そうでしょ・・・。うん、怖かったんだよね。記憶、飛んじゃうの仕方ないよ」
遠藤「オレ・・・、オレ、どうしたら」
凛音「教室帰ろう? そんなの、どう考えても遠藤君じゃないんだから、大丈夫だよ」
遠藤「凛音ちゃん」
凛音「ほら、立って」
遠藤「・・・ありがとう」

 

零音「ぷは一っ! 風呂上りのコーラくっそうめぇ」
凛音「今日学校であんな事あったのに、あんたよく平気だよね」
零音「ばーか、平気な訳ねぇじゃん。怖ぇに決まってる」
凛音「でも! あんた莉奈(りな)の話だと、死体に触ってあれこれ調べてたって言うじゃんか!」
零音「あれは・・・、なんでか判らないけど、恐怖より興味が上回ったというか」
凛音「信じらんない!」
零音「けど、触手、かぁ・・・。ん、LIME? なんだ? 遠藤・・・、いきなり通話とか。ないわー」
凛音「出て上げなさいよ、色々不安なんだよ」
零音「もしもーし、こちらホワイトハウス」 
凛音「いきなりあんたどこにいるの?!」
遠藤「た・・・、すけて・・・」
零音「は?」
遠藤「た・・・、すけてくれ、零音・・・」
零音「いや、お前どこに居るんだよ」
遠藤「教、室・・・。ダメだ。オレ・・・、オレ・・・」
零音「何が、ダメ? や、教室に居るんだな?! 判った、すぐ行く」
凛音「や!! 零音! やだ!!」
零音「凛音?」
凛音「こんな、変な事件起こってるのに、やだよ、一人にしないで」
零音「判った、一緒に来い」
凛音「うん」

 

凛音「でも、今もう夜10時半だよ? 流石に学校の中誰も居ない筈なのにどうやって教室に入ったんだろう?」
零音「窓ガラス割りゃあ入れる」
凛音「遠藤君はあんたみたいに野蛮人じゃない!」
零音「あった! 窓ガラス割れてる」
凛音「なんてこったーい!」
零音「ガラスの破片危ないな。鍵開けて窓開けた・・・、凛音、どうした?」
凛音「遠藤君はお品がよろしいとずっと思ってたあたしの理想をね・・・?」
零音「は? 遠藤今朝お前のスカート短いのに見惚れてたぞ?」
凛音「もうそれ以上言わないでお願い。あたしの遠藤君像が・・・」
零音「遠藤になんの理想を持ってたんだ」
凛音「ね、助けてって言ってたんでしょう? 警察とか呼ばなくて良かったのかな」
零音「遠藤は進学校希望だ。大した事なかった時に警察沙汰になってたら内申に響くだろう? 手に負えなかったら呼ぶ」
凛音「判った」

 

遠藤「零音・・・」
零音「ん・・・、なんだ。助けてって・・・、何も起こってないんじゃないか。

   僕はてっきり例の連続殺人犯と居合わせたのかと・・・、・・・っ?! 狩れ・・・っ、って、え・・・? な、何?」
凛音「遠藤君、良かった、無事だったんだね。零音、どうしたの?」
零音「どうし・・・って、凛音にはこの声が聞こえないのか?」
凛音「声? なんの?」
零音「首が・・・っ、熱い・・・つ、うっ」
凛音「零音?!」
零音「遠藤が! もう死んでるって!! どういう事だよ!!」
凛音「え?!」
零音「妖(あやかし)ってなんだよ! 乗っ取られた人間はもう死んでるって!! なんなんだよ! 気持ち悪りぃんだよ!

   話しかけるんなら直接話しかけろよ!」
凛音「ちょっと零音、あんた誰と話してんの?!」
遠藤「あー、零音・・・、妖(あやかし)ってオレの事だな・・・。」
零音「遠藤・・・?」
遠藤「なあ、零音。お前の脳ミソくれよ」
零音「何言ってんだ? 遠藤」
凛音「ちょっと、遠藤君! 零音の脳ミソなんかアイドルとゲームとアニメばっかりで役立たずだよ?!」
零音「凹むわー・・・」
遠藤「なんでそんなに遊び狂ってんのに点数取れるんだよ! 俺はこんなに一生懸命なのに! なんでだよ!

   塾にも行って睡眠削って勉強してんのに、どうして他の奴らに敵わないんだよ!」
零音「そんなん、僕に判る訳ないじゃん! 個人差があるだろう?!」
遠藤「能美(のうみ)さんにも聞いたんだ。そしたら彼女なんてったと思う?」
零音「能美(のうみ)さん・・・? お前・・・、能美(のうみ)さんの殺害現場にも居たのか?」
遠藤「塾は親が行っておけって言うから行ってるだけで、別に行かなくても普通に点数取れる、って」
零音「まさか遠藤、お前・・・、能美(のうみ)さん、殺したのか・・・?」
凛音「零音! 遠藤君は違うってあたし言ったよね?!」
遠藤「殺したんじゃないよ」
零音「そうか・・・、良かった・・・」
遠藤「死んじゃったんだよ」
凛音「え? 死んじゃった・・・って・・?」
零音「どういう事だ」
遠藤「普段の勉強だけで全国模試通過出来るような脳ミソ、オレも欲しいじゃん」
零音「脳ミソ・・・? 藤堂(とうどう)の頭が軽かったのって・・・、脳ミソが入っていなかった・・・、から?」
遠藤「その脳ミソ食ったらさぁ、頭良くなるかと思ってさ」
零音「食っ・・・た?」
遠藤「零音の脳ミソも食いたいなぁ・・・。でも凛音ちゃんさ、確か世界史の成績抜群に良かったよね?」
凛音「え・・・?」
零音「遠藤! お前どうかしちまったのかよ!」
遠藤「大した事じゃないよ。親がさあ、オレの成績があんまり伸びないんで怒っててさ。苦しくて死んでやろうと思ったんだ。

   だから、風呂で手首切ってさ、意識なくなってさ・・・。でも 気が付いたらベッドで寝てて、こんな物が使える様になってたんだ」
凛音「手首・・・って、自殺・・・?」
遠藤「こんな触手が、ほら、使えるん・・・、だよっ!」
凛音「いやああああああああ!!」
零音「凛音!!」
遠藤「ねぇ、凛音ちゃん。君のその脳ミソ食わせてよ」
零音「凛音を放せ! 遠藤!!」
凛音「それ・・・、その触手で、頭に穴を開けて、脳を吸い取ったの」
遠藤「そうだよ・・・。能美(のうみ)さんの脳ミソ吸い取ったらさ・・・、

   何だか今まで勉強した事もない様な高校受験の範囲まで頭に流れ込んできてさ。すげぇよ、これ。最高だよ!

   これで欲しい情報持ってる奴の脳ミソ全部食っていけば俺は天才だ! あはははは!」
零音「目を・・・、覚ませよ遠藤! お前、人を殺してるんだぞ!」
凛音「そうだよ、遠藤君・・・。人間は脳がなくなったら死んじゃうんだよ?!」
零音「くっそ、狩れって・・・うるせぇな!! さっきから!!

   じゃあ聞くけどその狩りをやったら遠藤はどうなるんだよ! 元に戻せんのかよ!」
凛音「零音? また・・・」
遠藤「さーて、凛音ちゃんの脳ミソ貰おうかな」
零音「オン・ボク・ケン!」
遠藤「あうっ!!」
凛音「きゃっ・・・、え、遠藤・・・、君?」
零音「凛音! 早くこっちに来い!!」
凛音「う、うん・・・!」
零音「そうか・・・、陀羅尼が効くのか! でも、遠藤が・・・、もう助からない、って・・・」
凛音「ねえ、零音、誰と、話してるの?」
零音「うなじに声が響いて来るんだよ!」
凛音「・・・、朝、言ってた、インプラント?」
零音「多分」
凛音「そ・・・っか・・・」
零音「けど、けどさ!! 遠藤はもう死んでるって!

   妖(あやかし)に乗っ取られた奴はもう死んでるって、だから狩れってそれしか教えてくれないんだよ!

   遠藤を助ける方法を! そんなの無いって・・・」
凛音「零音・・・」
零音「くっそお・・・、くっそおお!! 遠藤!! 元に戻ってくれよ!」
遠藤「頭・・・、良く、なりたい・・・」
零音「遠藤! どれだけ頭良くなったって! 人殺してたらダメなんだよ!」
遠藤「学力、が・・・、欲し・・・、い」
零音「遠藤!! 学力あったって、死んじまったら意味ないじゃないか!」
遠藤「脳・・・、ミソ、くれ・・・」
零音「遠藤・・・、凛音! なんでもいい! 紙に四十二字の智(なー)を書いてくれ!」
凛音「うん・・・」
遠藤「れ・・・、おん・・・。お前の、脳ミソ・・・、食わせろ・・」
零音「元に戻ったら! 朝だろうが休みだろうが勉強に付き合うよ! だから・・・、戻ってくれよ・・・」
凛音「書けた! 零音」
遠藤「お前の脳ミソ食わせろ!」
零音「ナウマク・サンマンダ・ボダナン・バン!」
遠藤「うがあ!」
零音「アニ・マニ・マネ・ママネイ・シレ・・・」
遠藤「うああああ、痛い! 痛いぃ!」
零音「・・・っ! 遠藤・・・、シャリティ」
遠藤「やめろおお、痛いぃい!」
零音「う・・・、く、うぁ・・・」
遠藤「余計な事しないで、さっさと食わせろお!」
零音「ふ、ぅっ・・・」
遠藤「二人とも纏めて食ってやる!」
零音「ごめんな、遠藤・・・。僕には、助けてやれないみたいだ・・・」
遠藤「脳、ミソ・・・」
零音「アビラウンケン!」
遠藤「あうっ!」
零音「アニ・マニ・マネイ・ママネイ・シレイ・シャリティ・シャミヤ・シャビタイ・センテイ・モクテイ・モクタビ・シャビ・アイシャビ・ソウビ・シャビシャエイ・アキシャエイ・アギニ・センテイ・シャビ・ダラニ」
遠藤「あ・・・、う・・」
凛音「遠藤君!」
遠藤「は・・・、っ、は・・・、りお・・・」
凛音「遠藤君!!」
零音「ふ・・・、う、あ、うああああ!! えんどおおおおおお!!!」

 

零音(M)「脳内に響いてくる声に寄ると僕には償わなければならない罪があって、それは全ての妖(あやかし)を狩る事で許されるらしい。

    僕は体の時を止められたらしくおよそ生きているとは言えない体で、

   時間の壁を超えて世界に蔓延る妖(あやかし)を狩る使命を帯びている。

   だから、このまま凛音と一緒に暮らす事は出来ない、のだそうだ」

零音「凛音・・・、眠れたか・・・。怖い思いもしたけど疲れたもんな。ゆっくり休めよ」

零音(M)「もしも、僕に罪があるとするなら、それはたった一人の双子の姉、凛音に恋したことかな、と思う」

 

零音「ごめんな、凛音、これで最初で最後にするから、許してくれよな・・・」(キス)
 

零音「必ず、全部狩り終えるよ・・・。起きて止められたりしたら、辛いから、もう行くな・・・。さよなら」

 

 

 

 

凛音「えへへ・・・、零音の触れた唇が、熱い・・・。う・・・、ひっく・・・、うえええええん・・・。零音・・・。

   ごめんね、ごめん・・・。知ってたよ、全部。だって、あたしも同じ使命があるから・・・。

   あたしも妖(あやかし)を狩らないといけないんだって・・・。本当はね、零音よりずっと前から知ってたの。

   でも、もう少し、もう少し一緒に居たいって思っちゃったから・・・。だから零音を苦しませちゃったね・・・。

   こめんね。あたしも、頑張って狩るから。本当に全部狩り終わったらもう一度、会おうね・・・。

   それまで、・・・さようなら」