​原典の勇者 ~外伝~ ネリネの観察日記 / ♂×2 ♀×2 / 嵩音ルイ

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所要時間:10分程度
利用規約をお読みいただきご利用下さい。

2019/3/2 利用規約を改訂しました。必ず読んでから上演をお願いいたします。

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◆登場人物◆

オティス ♀

どこからか来た旅人。

飄々としており温厚。悪しき勇者を駆逐する旅をしている。

「原典の勇者」と呼ばれる、魔龍を封印したかつての勇者。日記をつけたことがあるが3日で飽きた。

 

ヴラドニア ♀

『血染めのヴラドニア』の俗称で知られる勇者特権者。悪を憎み正義を成す、正義の執行人を志している。

二挺拳銃「フレック」「アルヴィド」と特殊な戦艦「ゴールデン・ヴェニソン号」を保有しており、その攻撃力は計り知れない。

元王女であり、兄の死の真相を追っている。誰にも所在を教えていない鍵付きの日記を持っている。

 

イフォニ ♂

その筋では有名な情報屋。対価さえ積めば有用な情報を明かしてくれる。

童顔で小柄であるうえ、身分を全く明かしていない。過去は振り返るものではないから日記はつけない、とは本人の談。

背が小さいことをかなり気にしており、馬鹿にすると怒る。

 

ベニオット ♂

王国軍にわずか三人しかいない竜騎士の一人。書いた日記は16冊を超える。

真面目な性格であり、騎士としての自分に誇りを持っている。オティスとは同盟関係にある。

パートナーのワイバーンの名は「アホ毛」。友人命名であり、結構気に入ってる。

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役表

 

オティス(♀)・・・

ヴラドニア(♀)・・・

イフォニ(♂)・・・

ベニオット(♂)・・・

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〇原典の勇者外伝『ネリネの観察日記』

 

イフォニ「ベニオット、突然だけど投資に興味はないかな?」

ベニオット「もう関係切るぞお前」

イフォニ「嘘嘘、そんなことしなくてもベニオットってば世界に3人しかいない竜騎士様だから、お金たくさん持ってるよね~?」

ベニオット「かと言ってお前のために使う金は1メナもないんだが?」

イフォニ「ケチ~。せっかくいいもの見せてあげようと思ったのに」

ヴラドニア「ベニオット、少しいいかしら――あら、居たの。オティスさん、虫除けの魔法とか知らない?」

オティス「魔法を便利グッズか何かだと思ってない?除けるよりも殺した方が早いと思うよ」

イフォニ「相変わらず愛が重いなぁ。けどそんなところも魅力的・・・とりあえず訂正はするからさ。うん。無言でフレック向けるのやめようね?」

ベニオット「すまん、いろいろ情報を受け取っていた。最近は君臨勇者ヴァンハーフといい、いろいろ活発だからな」

ヴラドニア「そう?情報の押し売りなら受け付けてないわ、欲しい時に欲しいものだけ持ってきなさい。情報屋でしょう?」

ベニオット「お前もお前でなかなか理不尽だぞ?」

イフォニ「いやー、実はヴァンハーフの書庫整理を手伝わさせられてたんだけどさ。そうしたらほら、こんなものがあって」

ヴラドニア「どれどれ・・・『お父様の観察日記』?」

イフォニ「ヴァンハーフの愛娘、ネリネが書いた日記だよ。絶対面白いよなって思って」

ベニオット「盗んできたのか」

イフォニ「借りてきたの。快く許してもらえたからさ」

オティス「イフォニが言うとなんか不穏に聞こえるな?」

ヴラドニア「そんなものに興味ないわ。はぁ、無駄な時間を使ったわね、これからオティスさんとティータイムなの」

イフォニ「あっれー?本当に良いのかなヴラドニア」

ヴラドニア「・・・なに?」

イフォニ「ネリネが書いたお父様の日記だぜ?勇者同盟の元締め、君臨勇者ヴァンハーフ。その彼を一番近くで見てきたネリネの日記だ。きっと僕ですら知らないものが見られるかもしれない。易々と逃して良いのかな?」

ヴラドニア「相変わらず口だけは達者ね。そう、要するに貴方が持ってきた今回の情報がそれということね」

イフォニ「まー、言ってしまえば建前だよ。ほら読もうぜ、絶対面白いじゃんこんなの」

オティス「まあでも、ちょっと興味あるのは事実なんだよね・・・どれどれ?」

ベニオット「絵日記なのか。しかし、これは・・・なんだ?」

ヴラドニア「絵が壊滅的すぎて何がなんだかわからないわね」

ベニオット「これもしかして人を描いているのか?マッチ棒が並んでるのかと思ったぞ」

イフォニ「とりあえず文字だけでも追ってみよう。年齢を疑うくらいには綺麗な字だよ」

オティス「そうだね。どれ――1日目。ネリネは今日から、お父様の観察日記をつけることにしたのだわ!どんなことをするのか、どんなふうに生きているのかとても興味深いのだわ!」

ベニオット「別に声まで寄せなくてもいいんだぞ?」

オティス「なんかやりたくなっちゃって」

ヴラドニア「しかし、ヴァンハーフの観察日記を付けようだなんて。物好きよね」

ベニオット「子供からしてみれば、父親がどう過ごしてるかってのは気になるもんなんじゃないか?」

オティス「2日目。お父様と散歩に行ったのだわ!」

ヴラドニア「思ったよりほのぼのしてるわね」

オティス「お父様とネリネはとても仲良しなのだわ!お父様と逸れないように首輪をつけようとしたけど嫌がられちゃったのだわ。せっかくかっこいい首輪を買ったのに、残念なのだわ」

イフォニ「いやどんな発想?」

ヴラドニア「雲行き怪しくなってきたわね」

オティス「3日目。今日はお父様にご飯をあげたのだわ!そういえば昨日も一昨日もなにも食べさせてなかったのだわ。ネリネはうっかりさんだわ!」

ヴラドニア「毎日食べさせてあげて?」

オティス「ドラゴンステーキを一緒に食べようと思ったのだけど、お父様は警戒して食べてくれなかったのだわ」

イフォニ「あれ結構おいしいのにね」

ベニオット「癖あるから好き嫌いは分かれるだろう。俺はあまり好きじゃない」

オティス「そこでネリネは閃いた!竜のしっぽの輪切りを焼かずに渡したの。そうしたらガツガツ食べてくれたのだわ!」

ベニオット「ヴァンハーフが竜の肉を生でガツガツ食ったのか!?」

ヴラドニア「全く想像できなくてびっくりする」

オティス「4日目。今日はお父様と遊んだのだわ」

イフォニ「良かった、ほのぼの回だ」

オティス「ネリネが投げたフリスビーを全速力で追いかけて空中キャッチ!流石のネリネもこれには痺れたのだわ!」

イフォニ「全然ほのぼのしてないけど?」

ベニオット「それでいいのかヴァンハーフ」

オティス「鎖とか使えばいいのに」

ヴラドニア「追いかけることに意味があるんじゃないのかしら」

ベニオット「全力ダッシュするヴァンハーフ想像したくないな」

オティス「5日目。最近お父様とよく散歩に行くのだけれど、近くの木や岩にお父様が小便をかけるのが悩みなのだわ」

イフォニ「ぶはっ!?あは、あはははははは!あいつ、あいつ立ち小便してんの!?所構わず!?」

オティス「こいつマジでなにしてんの」

ヴラドニア「同盟抜けて良かったわ」

ベニオット「そこまで言わせるのか君臨勇者・・・」

オティス「きっと縄張り意識が強いのね!ネリネも今度やってみようかしら!」

イフォニ「娘に悪い影響与えてるよ!?」

ヴラドニア「考えが野性的すぎないかしら」

ベニオット「ネリネ、結構そういうところあるぞ。半竜半人だからな」

オティス「15日目。お父様が日記に悪戯をしたのだわ!・・・あれ、なんか数字飛んでない?」

イフォニ「急に日記に飽きたのかな」

オティス「お父様が日記にいたずらをして、ページを何枚か破ってしまったのだわ・・・頑張って書いたのに・・・」

ベニオット「ああ、だから所々破れてるのか」

ヴラドニア「どんな痴態を晒していたのか気にな・・・こほん。得るべき情報が欠けてしまったのは悔やまれるわね」

イフォニ「痴態って言ったね?」

ヴラドニア「空耳が酷いようね。今度医者にかかると良いわ」

オティス「17日目。お父様が死んでしまったのだわ」

ヴラドニア「お父様ー!?」

イフォニ「死んだけど!?ヴァンハーフ死んだけど!?」

オティス「お父様用のトイレを用意したのに、全然使ってくれずに辺りを汚すのだわ。叱りつける意味で一発叩いたら死んでしまったのだわ・・・」

イフォニ「娘にワンパンで倒される君臨勇者」

オティス「いやでも、シパオでも一撃当てたら倒せたしな。紙装甲なのかも」

ベニオット「お前の一撃とネリネの一撃を同列に語るな。あの時技使っただろお前」

イフォニ「いや・・・しかしこれ、何も得れてないね」

ヴラドニア「ヴァンハーフが娘の前では獣のような知性になることだけははっきりしたわ」

オティス「よし、今度ヴァンハーフに会ったらフリスビー投げてみるか。取ってくれるかも」

ベニオット「やめとけ、小便掛けられるぞ」

ヴラドニア「んふっ」

オティス「お?ヴラドニアが噴き出すって、珍しいね」

ヴラドニア「笑ってないわ」

ベニオット「え、今のは」

ヴラドニア「笑ってないわ」

ベニオット「そこでフレックを抜くのやめような?悪い癖だぞ」

イフォニ「んふふー、ここに載ってた情報でヴァンハーフ強請れるかな。とりあえず、この日記はこのまま持ち逃げしちゃおう」

オティス「ん?なんか一枚落ちてきたぞ」

ヴラドニア「あら本当ね。破られたページを後ろに挟んでいたのかしら」

イフォニ「日付的には・・・あ、多分これ最初のページだね」

ヴラドニア「あら、本当?どれどれ・・・お父様が「命の儚さと尊さを知ることは大事だよ」と、ネリネに犬を買ってきてくれたのだわ!名前は好きに付けなさいと言われたから、敬愛と感謝の気持ちを込めて「お父様」と名付けることにしたのだわ!」

オティス「えっ」

ヴラドニア「これって、ヴァンハーフじゃなくて」

ベニオット「犬の観察日記じゃねーか!!!!」